アイスランド総合研究所の企画「アイスランドに関する記事募集」でご応募いただいた記事のうち、「特別賞」「優秀賞」に輝いた記事を掲載しています。
今回の記事は「優秀賞」に輝いた、堀口雄大さんによる「アイスランドは「火の国」? ~北欧研究会代表の独り言コラム~」です。
北欧研究会NORDICという学生団体の代表を務めて約2年半。私たちの団体が勉強している北欧5ヶ国(アイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド)の中で新入生が「ポカン」とするのがアイスランドである。
アイスランドの話をすると「え?アイルランドじゃないの!?」と間違われ、国旗を見せると「5ヶ国の国旗の中でこれだけ知らない」と言われる有様である。
こんなことを3年間繰り返している。それではいけない。せめて「アイルランド」と「アイスランド」の区別はつけて欲しい。北欧には「アイスランド」があることを皆に知ってもらいたい。そんなことを思いながら私たち北欧研究会NORDICはアイスランドを含む「北欧に関する知識の収集や情報の発信」を行っている。今回の記事もそんな情報発信の一環として執筆したいと思う。
そもそもアイスランドとはどんな国か。世界地図を広げてみるとアイスランドはイギリスやアイルランドの更に北西に位置している。どちらかというとグリーンランドに近い。さぞかし北にあるのかと思いきや、実は国土のほとんどは北極圏から外れている。
しかし、そうは言っても北極圏ギリギリの島。さぞかし寒いのだろうと思いきや、首都レイキャビクの気候区分はなんと温帯(西岸海洋性気候)なのである。
寒さが和らぐのには理由がある。アイスランドの南岸には北大西洋海流と呼ばれる非常に大きな暖流が存在する。これにより比較的暖かい空気がアイスランドに流れてくるのである。とはいえ、島の北側や内陸部にはさすがに氷河が多数存在しており、まさに「アイスランド」の様相を呈している。
アイスランドを語る上で切っても切り離せないのが火山の存在である。2010年のエイヤフィヤトラヨークトル火山の噴火ではヨーロッパ中の航空運航に影響が出た。アイスランドは国土に様々な火山を抱えている。これはアイスランドがギャオと呼ばれるプレートの境目に位置するためである。火山の存在によってアイスランドは度々「火の国」として観光ガイドに紹介されている(熊本県もびっくりである)。
アイスランドの観光名所は火山に由来するものが多い。例えば、自然のダイナミックさを体感できる「ゲイシール間欠泉」や世界最大の温泉「ブルーラグーン」が挙げられる。ブルーラグーンは火山の地熱による発電によって生み出されたものであり、アイスランドの観光資源の一つとなっている。温泉好きとしては是非訪れてみたいものである。
火山由来の土質は作物が育てづらいため、アイスランドでは農業が難しい。その代わりに発達したのが厳しい環境でも生育が可能な「ヒツジの放牧」である。驚くことにアイスランドでは国民よりもヒツジの頭数が多いのである(アイスランドの人口は約32万人、ヒツジの数は40万頭以上)!ヒツジは食糧となるだけでなく、羊毛の生産も可能であり、アイスランド人にとって貴重な資源となっている。
このように、アイスランドは火山による影響と恩恵を色濃く受けている国であると言える。氷河や火山といった自然の驚異に晒されながらも、その恩恵として温泉や地熱を利用しているのである。自然と共存しながら生きていく様子は日本と共通する部分があると言える。それこそが私がアイスランドに興味を持った一番の理由である。
私はアイスランドを訪れたことが無い。本やインターネット、体験談などの情報から「アイスランドに行きたい欲」をふつふつと煮えたぎらせている毎日である。他の北欧諸国と比べ、資料が非常に少ないのがアイスランドである。情報が少ないからこそアイスランドについてもっと知りたいのである。そんなことを思いながら今この文章を執筆している。誰かがこの文章を読み、私と同じ気持ちを抱く人が少しでもいれば幸いである。
2014年9月27日(土)~28日(日)に行われるツーリズムEXPOジャパンに、駐日アイスランド大使館が出展いたします。どうぞお立ち寄りください!
詳しくはこちら:ツーリズムEXPOジャパン