観光名所・トラファルガー広場「第四の台座」は市民投票で決まるんです!
イギリス

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ロンドン観光のハイライトの1つでもあり、ロンドナー達にとっては待ち合わせの定番でもあるトラファルガー広場。

有名なネルソン提督の像を中心に、広場の四隅にはイギリスの英雄たちの彫像が建っていますが、北西に据えられた「Fourth Plinth(第四の台座)」のみ、市民の投票によって設置されるアートオブジェが決まります。

現在The National Galleryでサンプル展示と投票が行われており、3月26日に締切となります。国籍もばらばらなクリエイター達によるユニークなアートオブジェ、候補作品5つを紹介します。

Untitled

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作:Huma Bhabha(1962年パキスタン生まれ、ニューヨーク在住)

アフリカンアート、ピカソやロダンといった20世紀初頭のアーティストからの影響が見られる抽象的作品です。けれど、この作品は、特定の時代や場所に言及したものではありません。

彼女曰く「eternal concerns」、つまり戦争や植民地といったいつまでも終わることのない懸念や心配の集合体と言えます。「Untitled」という作品名の通り、普遍的な真理と人間の愚かさを抽象的に表現した、社会的な作品ですね。

Higher

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作:Damian Ortega(1967年メキシコ生まれ、メキシコ在住)

不安定な運搬車、オイル缶、足場、梯子……今にも崩れ落ちてしまいそうな危なっかしい構造物。けれど、一見雑にも見えるその構造は案外うまく計算されたもので、とても安全なのです。彼の作品は、新たな手法で日用品を表象しています。

日常的でありながらどこか非日常を感じる作風は、アニメーションで育った私たち日本人にはどこか親しみが持てるものだと思いませんか? 私には、どうしてもあの国民的アニメ制作会社の描くファンタジーの世界が思い浮かんでしまいます。突然足が生えて動き出しても、翼が生えて飛び立ってもきっと驚かない……!

The End

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作:Heather Phillipson(1978年ロンドン生まれ、ロンドン在住)

巨大で不安定な荷が象徴するものは、豊かさと不安。彼女の作品には、記念や祝賀から大衆による抗議といった両極端の経験を有する、トラファルガー広場の特殊な状況に対する試みが見られます。

てっぺんに見えるのはドローンでしょうか。まさに「今」を切り取った作品ですよね。甘いクリームとさくらんぼが、さらに風刺を引き立てているように感じます。

The Invisible Enemy Should not Exist

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作:Michael Rakowitz(1973年ニューヨーク生まれ、シカゴ在住)

2015年、ISISにより数多くの歴史的遺産が破壊されました。この「ラマス(翼のある雄牛、アッシリアの守護神)」もその一つで、紀元前700年頃からニネベのネルガル門への入口に建っていた守り神でした。そして、「第四の台座」の約14フィートという大きさは、この守護神とほぼ同じサイズにあたります。

トラファルガー広場においてラマスを再建することは、ニネベの過去、現在、未来の守護神として彫刻を維持することだと彼は考えたのです。Rakowitzは、多くのアート作品を通して、世界中の問題を取り上げている意欲的なクリエイターです。作品名からも、彼の強い思いを感じることができますよね。

The Emperor’s Old Clothes

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作:Raqs Media Collective(1992年、Jeebesh Bagchi、Monica Narula、Shuddhabrata Senguptaにより設立)

台座の上の空っぽの礼服。王位の象徴でもあるはずのその残骸は、過去の幽霊であり未来への警告でもある王の古びた衣服に過ぎないのです。

もし、トラファルガー広場にこの彫像が建ったら、イギリス人らしい盛大な皮肉が成立してしまうんじゃなかろうか……と個人的に気になる作品です。

いよいよ投票締切!

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投票は3月26日(日)まで。誰でも気軽に参加できるので、ロンドン滞在中の方はぜひ1票を投じてみてくださいね。

2017/03/24 編集部注:この情報は原稿執筆時点の情報です。3月22日、ロンドンで発生したテロに関し、最新情報が入り次第記事を更新いたします。事件の影響を受けた全ての皆様にお悔やみ申し上げます。

この記事を書いた人

Yuki

Yuki

横浜生まれ。大学卒業後、制作会社勤務を経て現在はフリーランスのDTPデザイナーをしています。ロンドン在住時は、日本の第二都市は横浜だと吹聴してました。現在一時帰国で日本満喫中!歴史と文学と美術にまつわる旅をビール片手に一人で楽しむのが至福です。こちらでは、歴史好きと飲兵衛さんに有益な情報をお伝えしていけたらと思っています。

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