「ふれあい下水道館」は、日本で唯一の異臭を放つテーマパークかもしれない。
日本

ふれあい下水道館

「嫌なモノ、汚いモノ、臭いモノ」は、自分の目の前から消えてほしいと思うものです。生活している以上、1日に何度か目にしなければならないモノを、日本では江戸時代の頃から、「フタ」をする方法で隠すようになりました。生きていくなかでなくてはならない、「水」の色やにおいを体感できる施設をご紹介します。

異臭を放つ日本で唯一のテーマパーク?

ふれあい下水道館

東京の小平市といっても、あまりなじみが無いと言う人も少なくないでしょう。東京の飲料水として利用されている、「玉川上水」の近くにあるのが、「ふれあい下水道館」です。現役バリバリに使われている、下水道管の中を無料見学のできる施設です。西武国分寺線の「鷹の台」駅から、徒歩7分の場所にあります。

ふれあい下水道館

入口から入ろうとした時、「お願い! 館内の気圧が下がる為、ドアを開け放しにしないでください。(下水の臭いが充満します)」という、張り紙が目に止まります。気圧を高くして、においが拡散しないように、封じ込めているんでしょうね。ドアを開ける前から、何だかドキドキします。

ふれあい下水道館

地上2階。地下5階の構造になっているようです。1階はエントランスで、2階は事務所と図書室のようです。

ふれあい下水道館

エントランスには、日本庭園で見かける「水琴窟」があります。空洞になっている手水鉢の中に水滴を落下させて、独特の音を反響させる仕掛けになっています。手水鉢の排水を処理する機能をもっていると言われています。すでに、ココから水に関係する演出が始まっているようです。

モグラマニアがオススメする階段ルート

ふれあい下水道館

施設にはエレベーターもありますが、お目当ての地下5階まで階段を使って向かいます。

ふれあい下水道館

階段の中央には、関東ローム層の模型が展示されています。階段を下りながら、標準的な地層の様子を見ることができます。

ふれあい下水道館

地下1階はワークショップになっていて、社会科見学の小学生たちで溢れかえり、フロアに入ることができませんでした。

地表から8m・地下2階は、不気味ゾーン

ふれあい下水道館

地下2階には、東京の地下に隠された下水道の実態を、存在感と圧迫感のあるモニュメントのように、わかりやすく映像や模型を使って展示されています。

ふれあい下水道館

生活排水を説明するオブジェです。水道の蛇口から出ている水の色が、こんな色だったら触りたくありません。

ふれあい下水道館

確かにトイレの排水も、そのまま下水道に流れ込んでいくんですよね。

ふれあい下水道館

赤ちゃんのカラダの大きさが、バスタブと比べてデカすぎじゃないですかね。不気味な感じがするのは、大きさがアンバランスというだけでしょうか?

ふれあい下水道館

地下2階から3階の深さになると、地層に変化が観られます。こぶし大ぐらいの石が混ざっているんですね。

地表から12m・地下3階は、水にまつわる知恵ゾーン

ふれあい下水道館

地下3階では、小平の水環境について、「まいまいず井戸」という渦巻き型の井戸の、模型が展示されています。

ふれあい下水道館

狭い竪穴のまま掘るのが、難しいので考えられたものです。実際に、小平市内の「ブリヂスストン工場」や「津田塾大学の東」にあったようです。こんな形の井戸があったことを、初めて知りました。

ふれあい下水道館

普段の生活で見ることの無い、水道メーターや止水栓の断面などを見ることができ、まるで、ひとり社会科見学です。ふれあい下水道館の近くを走る西武線は、屎尿など肥(こえ)を運ぶための電車として作られたそうです……。シモ関係のウンチク満載です。誰かに話したい……だけど人に直接は話せないかな。

ふれあい下水道館

地下3階から4階にかけての地層には、本日の地下水の位置なども表示されています。地下水って、もっと深い場所にあるのかと思っていましたが、意外に浅い場所を流れていたんですね。

地表から15m・地下4階は、東京下水道の歴史ゾーン

ふれあい下水道館

地下4階には、江戸時代から明治時代にかけての下水道を「いろは歌」になぞらえて、貴重な資料が展示されています。各フロアを巡りながら、下水道の仕組みや歴史などを、わかりやすく観るころができるようになっているんですね。

ふれあい下水道館

地表から22m、地下5階に到着しました。何やら、湿気を帯びたような空気になっています。

地下5階のゲスい道のにおいで、PPAP!

ふれあい下水道館

体験コーナーなんて、明るく書かれていますが、消毒液が設置されている下水道管の入口です。なま暖かい空気が漂い、水の流れる轟音と臭いにおいに圧倒され始めています。

ふれあい下水道館

下水道管までの通路は、シェルターのように狭くなっています。

ふれあい下水道館

雨が降ったあとで、下水道管の水位が上がる時に、分厚く頑丈なシェルターの扉は閉められるようです。

ふれあい下水道館

ゲスい道まで、最後の扉付近です。禁煙マークに違和感ありませんか……こんな場所で、タバコを吸う人がいるのでしょうか?
確かに、何かが腐ったようなにおいがするので、ガスが発生しているのかもしれません……。

ふれあい下水道館

監視カメラが設置されている、見学ルートの行き止まりです。内径4.5mの下水道の中にいると、遠いのか近いのかわからない場所から響く轟音と、鼻がよじれるほどの強いにおいがP(プンプン)、緊張感MAX!

ふれあい下水道館

目も耳も、空間になれるまで時間がかかり、下水の流れる方向を把握できませんでした。轟音の大きさから、どうやらコチラが上流部のようです。うるさいし、におうし、長い時間はいられそうにありません、P(ピンチ)。

ふれあい下水道館

耳と鼻では、下水道管の中にいることが実感でしますが、目で確認できるものがありません。目を凝らして、下水の流れを観ていると、ティッシュの切れ端のようなモノを確認できました。轟音と共に、においが流れていて、カラダに振りかかってくる、なま温かい空気のA(悪臭)でフラフラしてきました。

ふれあい下水道館

くさいにおいは、写真で伝えられないと思っていましたが、耐えながら撮った渾身の1枚の写真。決して、心霊写真のオーブなどではありません。においを捉えた貴重なモノです。写真を撮った直後に、モニターで確認した途端、どえらいモノを写してしまったと後悔しました。もう無理無理無理、P(パニック)……「ふれあい下水道館」は、長い時間いられない、冷静さを失うPPAPな場所です。

でも、下水道が整備されているからこそ、普段はこのにおいに触れずに済んでいるんですよね。下水道のありがたさを知るキッカケとなりました。

日本を訪れる外国人に大人気のマンホールカード

ふれあい下水道館

トリビアがいっぱいの「ふれあい下水道館」はいかがでしたか? 地下に隠れている水道管や下水道管のフタに使われている、日本のマンホールは、デザインが凝っていています。街なかでも写真を撮っている、外国人を見かけます。限られた自治体で発行されている、枚数限定のマンホールカードを、エントランスでもらいことができます。記憶に残るはずの悪臭漂うテーマパークで、記念にもらってみてはいかがでしょうか? ワタシがもらった時点で、残り300枚ほどになっていました。

カラダに着いたにおいが気になるなら

ふれあい下水道館

「ふれあい下水道館」のスグ近くにある、玉川上水を散策してみてはいかがでしょうか?

ワタシは、少し鼻がムズムズしていたので、1時間ほど森林浴しました。川のところどころに小さな段差があり、小さな滝のようになっているので、マイナスイオンで消臭効果バツグンですよ。

ふれあい下水道館
東京都小平市上水本町1-25-31
開館時間:10時~16時
休館日:月曜日(休・祝日の場合は、その日後の直近の平日)、年末年始(12月27日~1月5日)
公式HPはこちら

この記事を書いた人

MAKIJI

MAKIJI

秋田生まれ東京育ち。中年デビューのスピリチュアル系フリーライターとして、都市伝説でウワサされる神秘的なエリアをotaku感覚で追いかけます。日本人が忘れかけている魅力的なスポットの隠された謎を一緒に紐解きしませんか?五感をフル活用した情報であなたの背中をそっと後押したいと思います。

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