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神保町「ペーパーバックカフェ」が常連客を虜にする、その細かな配慮とは?
日本

秋の古本市が過ぎ元に戻った賑わいと、馴染まないクリスマスイルミネーションが愛らしい今の神保町。北風からの避難が何時でも何処でもきく点で、この街は冬の散歩に最適です。
しかし本の都神保町には、古本屋と喫茶店は沢山あれど、「ブックカフェ」というものがあまり無いことをご存知ですか?
今回は、ブックカフェ巡り第3弾。そんな神保町に真正面からブックカフェとして孤軍奮闘する「Paper Back Café」をご紹介します。

「Paper Back Café」とは?

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「Paper Back Café」は、東京堂書店が近年リニューアルオープンし、晴れてブックカフェとして定着した神保町の本屋のひとつ。
その構造は、書店と喫茶店が正に半々。書店に少しの閲覧スペース、飲食ブースが付属している形になっている大手の三省堂、書泉、二十一世紀との違いはココにあります。書店としてのこだわりを棚に揃えコンテンツに沿いつつ、「買った本を読んでくつろぐ」をコンセプトにカフェも大きく展開。古き良き本屋が集う神保町にしっかり馴染み、早くも多くの常連客を作っている店です。

本屋としての実力は如何ほど……。

さっそく入店! とその前に、

外観に本!

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既に本、です。今回の着眼点は、狭いスペースでどれだけの本を展開できるか、というところでしょうか。神保町は、本を求めてくる人は多くても、その注文内容は様々。もし展開する本のジャンルに縛りを設けない書店の場合、大手のように広い場所を使って最大限の所蔵数を維持するか、敢えて狭いスペースをうまく利用して棚の構成に特色を出すかのどちらかに傾きます。Paper Back Caféは、圧倒的に後者。

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ランキングの書棚を、店に入らずとも見える場所に配置するのは、考えられてるなと思います。(随時更新されるランキングコーナーであれば、すぐ入れ替わるので本の日焼けの心配がありません)

気を取り直して、入店!

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シックなダークブラウンで統一されている、落ち着いた店内です。平台に高低差があり、2段構えになっています。詰める本の量がぐんと増えるので、こまめにしなくてはならない在庫補充が楽です。

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フロアごとの本の種別化は、それは各階のテーマに基づいたもののようです。ほしい本だけを買うのであれば、Amazonさんに頼れば良いのです。書店の良さは、現場に並ぶそれ以外の本たちと必然的に触れ合うことになること。店内を巡る「散歩」という過程を生かした、良い個性だと思います。

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2、3階はこのように平台が極めて狭いです。半分がカフェにスペースを取られてる分、こうして書棚を削って通路を確保している模様。

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天井まで届く本棚が連なりすぎないよう、平台オンリーのコーナーを設けることで圧迫感を軽減。カラフルなランチョンマットがよく映えます。また、均一性のある書棚の構成をこうして敢えて崩すことで目印となり、見たい書棚が見つけやすいようになります。

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ただ平らに本を伏せて置くだけが平台の使い方ではない! 大きさ、厚さ、が様々な本をパズルのように組み立てて無駄なく展開。お見事です……。

一方カフェの、繁盛の理由は?

ではカフェも覗いてみましょう。

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こちらは1階。平日にも関わらず、沢山のお客さんで賑わっております。その理由は……?
注文をすると、店員さんが他のお客さんの邪魔にならぬよう、控えめな声で受けてくれます。商品を持って、早速2階へ。

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こちらも既に多くの先客が。

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私が席を取るまでに見て思った、考えられる繁盛のワケは3つ。まず席の工夫。椅子は背もたれよりも幅を重視。読書は後ろに寄りかかるより、机に本を置いたり肘をついたりするため前に体重をかける人のほうが多いかと。そのため安定感を真っ先に取ったこの椅子が、案外しっくりきます。

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2席にひとつではありますが、電源もあります。Wi-Fiも飛んでいるので、長時間のパソコン作業が可能です。カウンター席でも机に奥行があるので、作業をするには十分の広さ。ブックカフェでなく、普通に喫茶店としても重宝すると思われます。

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次に、メニュー。こちらは北海道チーズケーキのコーヒーセット。550円とリーズナブルで、さっぱりとした味も疎ましくない量も片手間に楽しんでいる読書の邪魔をしない。他にもハッシュドビーフやタコライスなど、スプーン1本で食べられるフードが充実しています。
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ちなみにコーヒー豆はお土産にも出来ます。まろやかな酸味がとても美味しかったです。

見て楽しい紙媒体も充実!

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最後に、充実した展示コーナー。これ全て、豆本です。
 
目で見て楽しむ、本以外の関心に触れる、そして新たな知として吸収する。そのプロセス自体は、書棚を巡る際と何ら変わりがありません。だからこそ、接しやすいのです。
 
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それは席の横のポスターやPR誌であったり――

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カフェの出口の棚でふと見かけるかるたであったり。本屋の可能性を、こうして広げているようです。見ているこちらもとても楽しい。

まとめ

今回取材して特に感じたのは、「一番集中しやすいブックカフェ」だということです。洒落たことや可愛いレイアウトをしすぎない落ち着いた雰囲気と、ちょうど良い店内の音量が最大の魅力。たっぷりとった日曜の休みに、仕事の合間に、潰れた授業の代わりに……このブックカフェなら、ふと捻出した読書の時間を精一杯サポートしてくれます。
ぜひ、快適な読書ライフにご利用ください!

それぞれの読書スタイルに、しっかりと寄り添う空間

今回のカフェのお供は、小川洋子の「人質の朗読会」。静かな店内に沁み入る人質たちの声が、物語をサラサラと流して行きます。
仕事に勤しむ人、マンガを楽しむ人、ケーキやオムライスを誰かと口に運ぶ人――同じ空間に様々な過ごし方をするお客さんがいましたが、皆さん居心地良さそうでした。
それぞれの読書スタイルに、しっかりと寄り添う空間

この記事を書いた人

香罹伽 梢

香罹伽 梢ライター

とある九段下の大学生。国文学科映像メディア専攻。近現代文を研究したり、作ったりが専門。都心に行けば下っ端書店員。 書評であれ創作であれ、文学研究という素敵な趣味を1人だけで完結させるのは勿体無い。そこで、文芸団体を主宰したり読書会をインカレで運営したり、書評を広報したりと「複数人で盛り上げる文学ライフ」に力を入れています。 ここでは、主に都内のブックカフェを紹介し、様々な本との触れ合い方を皆さんとシェア出来たらなと思っています。
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