格安で移動できる!まだ知られていないフランスの交通機関・OUIGOとは?
フランス

まだまだ知られていない、フランスをとことん安くフットワークよく楽しめる交通機関やサービス、いろいろあります。

たとえば、以前紹介したiDTGVはサービス終了なのですが(マルセイユでは2017年12月9日まで)、また新たなサービス展開予定だそう。TGV自体が呼称も変えてから半年。サービス向上を目指しているところだそうで、全線1等車両だけでなく2等車両にもWi-Fiが完備になってきたりと便利に。今後にも期待できそうです。

この機会に公共交通を色々確認していたら、もっと安価なOUIGO(ウィゴー)がかなり快適で便利なことがわかったので、ご紹介しますね。

OUIGOウィゴーって? 電車? バス?……両方あります。格安の公共高速交通。

格安の公共交通というと、なんだかバックパッカーや学生向けのイメージだったのですが、なんとOUIGOの利用者の大半は普通の大人(というのも妙かもしれませんけど)。車両も座席も、とても快適です。そして、価格がうんと安い。

たとえば、電車のでマルセイユからパリのディズニーランドまでの片道が、平日10ユーロ、週末でも16ユーロ。

リヨンやマルセイユとディズニーランド方面を繋ぐ路線だから、パリ市内の主要駅で青い車体のOUIGOを見かけないのは、そのせい。

バスは、在住者のリピーターたちも目立つ人気な理由。

休みは多いけれど、その分出費を抑えてヴァカンスを愉しむのがフランス式と書きましたが、バス移動をよく利用する在住者も少なくないんです。遠距離恋愛も意外と多いフランス、実家への帰省もわりと頻繁だし、となるとバスは案外重宝。

そして、隣国同士が陸続きな欧州ならではのメリット。OUIGOのバス版・OUIBUS(ウィビュス)は、フランス国内だけでなく欧州の10都市へも、10ユーロから25ユーロで運行しています。日程によってはかなり早くに売切れてしまいます。

急がば回れ?な使い方、も。

そして、バスの方は主要鉄道駅と他都市の空港を繋いでいたりするので、乗り継ぎしなくて済んだりするメリットも。

先日のキャビアの試食会の席での雑談で、海外旅行の話題になって、「この頃ではマルセイユのマリニャン空港発着よりニース空港の方が(街としてはマルセイユの方が大きいのに)便数も多いし、より多くの都市に直行便もあるし安価なので、ニースを利用している」という人がいて、「空港への往復はどうしているの?(約250kmほど、車でも3時間程度の距離なので)」と聞いたところ、「OUIGOの高速バスを利用している」と。

確かに、マルセイユの空港への値段と変わらないし、荷物を預けて乗ってしまえば、到着地はニース空港。そこから直行便を利用する方が、マルセイユから、欧州の他都市で乗り継ぎしてというより、時間も歩く距離も短縮でき疲れないかも。

TGV(フランスの新幹線)の検索画面でも出てくるOUIBUS

食わず嫌いならぬ、勝手な思い込みで快適ではなさそうに思って利用しないままだったんですが、日本から来た友人が、「日曜日の朝マルセイユでの用事を済ませて、夕方にはモナコに着いていないといけないのに、シーズンオフの南仏のTGV(フランスの新幹線)は早朝か夕方の2本のみで、どうしよう?」ということがあって、代わりになる交通網を調べたら(TGVの検索画面の一覧に、バスも一緒に混じって出て来ます)、「OUIGOの高速バスでニースまで行って、そこからモナコへ乗り換え」ひとつのみ。でも、選択肢はありませんから、これを薦めたわけです。

片道9ユーロ(約1,200円)! それにしても、安すぎですよね。一体、どんな車両でどんな座席なのか不安になるぐらい。

TGVなら、平日時間帯によって(2週間前までの購入なら)20ユーロというのもないわけではないとはいえ、通常は50ユーロ以上。マルセイユ空港までのシャトルバス(45分)でさえ8.5ユーロなのに、約250km(5時間)で0.5ユーロしか違わないなんて、ありえないと思うでしょう?

何かの間違いかも、と念のため、確認に行くことにしました。場所は、マルセイユのサン・シャルル駅のホームの並び。駅構内を表玄関から入ってずんずん進むと、長距離バスのチケット売り場があります。

その傍ら、ガラスの壁面の向こうが、南仏各街町や村への高速バスターミナルになっています。ナヴェットと呼ばれる、マルセイユのマリニャン空港へのシャトルバスも、ここから。いくつかの異なる会社ごと、行き先ごとに、番号のついたバス停になっている仕様は、日本と同じ。

でも、OUIGO専用のはずの15番は、空っぽ。内容表示プレートを見ると、バルセロナ行きの時刻表が……

それでも、窓口の人は、OUIGOは15番にしか止まらないから、インターネットの時刻表で確認すれば大丈夫と言うので、そう信じることにしました。信じる、というと大げさに聞こえるでしょうけど、フランスだと、看板やネットの表記と実際が違うこともあるぐらいで、映画館に行ったら違う上映内容だった、ということもあったりするんです。

でも、大丈夫! ちゃんとこの場所でした。何度か見かけたことのある、明るいブルーと白の車体。一般的な空港からのリムジンバスのサイズ、ピンクの円形に白いロゴ、が目印です。

さて、では、車内へどうぞ。

嬉しいのは、スーツケースも1人2個預けられるし、そのほかに1つ持ち込めること。トイレもあること。そして、モチロンWi-Fiも電源もある、ゆったりスペース。高速バスがどんどん改良されてフットワークがよくなっているのは、日本や他の国と同じですね。

座席は、飛行機ならエコノミークラスより多々広め。中肉中背の男性が足を組めるぐらい。

移動中に嬉しいのは、充電も完備なこと。ジャックの差込口は座席前、2つあるので、隣の人とそれぞれ使えます。

座席は、事前予約は出来なくて、乗り込むときに指定されます。到着した順に奥から順次という感じ。

希望はあえて訊かれませんが、何でも『言ったモン勝ち』なことの多いのがフランス。希望があれば、一応、言ってみるといいかもしれません(私は、とりあえず、いつでも口にしています)。

景観を楽しむには、地図でルートを確認して。たとえば、マルセイユからニースに向かうなら、進行方向右側(の窓側)が海側(高速道路だし、最後の方でしか眺められないんですけど)がお薦めです。

さて、今日も満席!です。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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