博物館だけどピクニックもおすすめなんです、「国立中央博物館」
韓国

寒くても、雨が降っても快適に楽しめる。暖かくなったらピクニックも楽しめる。そんな韓国の観光スポット、国立中央博物館をご紹介しましょう。

場所は地下鉄4号線&中央京義線「二村駅」

博物館の最寄り駅は「二村(イチョン)駅」。ソウル駅や明洞、東大門駅などを走る地下鉄4号線と、「弘大(ホンデ)や金浦空港から伸びている中央京義線が通っています。

現在のところ、江南(カンナム)方面からはちょっとアクセスしにくいですが、ゆくゆくは江南駅を始点としている新分唐(シンブンダン)線が延線する予定になっています。

この二村という場所は、ソウルの中心部にある南山の南側と大河・漢江(ハンガン)に挟まれたエリアです。中央京義線の線路を中心に南側(漢江寄り)は、高層アパートが立ち並ぶ高級住宅街です。

実はここ、日系企業の駐在員さんがたくさん住む日本人街でもあるんですね。なので、うっかり出口を間違えて住宅街のほうに迷い込んでもわりと日本語で何とかなってしまう心強い町なんです。

そして北側は……何もありません。あ、いえ、南側の住宅団地と比べると「えっ」と思うくらい緑が広がっています。ここは、駐留米軍や韓国軍の基地のあるエリアの南端なんです。そのため長く開発をされることなく保たれたんですね。

そのエリアに作られたのが、今日ご紹介する「国立中央博物館」です。「ハングル博物館」や「龍山(ヨンサン)家族公園」なども隣接しています。

最初の国立中央博物館は景福宮の中にあった


撤去される前の旧国立中央博物館(旧朝鮮総督府)の様子(ソウル歴史博物館より)

今の国立中央博物館は2代目の建物です。初代の建物は、王宮・景福宮(キョンボックン/경복궁)にありました。日本植民地時代に宮殿内に作られた朝鮮総督府の建物を、1945年の光復(日本の統治からの独立のことを、韓国ではこの字を書いてクァンボクと言います)以降、国立中央博物館として長く使用していたのです。

しかし、植民地支配という暗い歴史の象徴である建物。王宮の王の間から正門である光化門、さらにはその先に延びるソウルの町を覆い隠してしまう重厚感あふれる建物。やはりその存在は韓国の人の心をえぐるものでした。

このため1996年に撤去され、2005年に現在の国立中央博物館を新たに開館しました。

博物館への道


二村駅の改札を出ると「国立中央博物館」の方向を示す標識があります。それに沿って歩いてください。

地下に続く長い長い道には、動く歩道が完備。夏場はエアコンも効いていて快適に移動することができます。動く歩道を突き当りまでいくと、エスカレータが。それを上ると国立中央博物館の敷地に入れます。

公園のように整備された前庭には季節の花が咲いていて、正面にある建物とよくマッチしています。国立中央博物館は真ん中が抜けたデザインになっていますが、その抜けた部分に南山がきれいにはめ込まれているように見えます。

前庭には池もあり、天気が寄ければ池の周りのベンチや東屋でお弁当なども楽しめます。付近には小さな売店もあるんですよ。

その庭を国立中央博物館に向かわず右手にずっと行くと、「ハングル博物館」があります。韓国の文字・ハングルに特化した博物館で、体験型の学習ができます。子供たちに交じってゲーム感覚でハングルを勉強してみるのはいかが?

2~3時間じゃ回れない広さ!


国立中央博物館は南山に向かって右側(東側)の常設展示室と左側(西側)の企画展示室に大きく分かれます。

常設展示室は入場無料。企画展示室は、企画によって有料の場合もあります。展示内容は期間によって異なり、企画が面白そうだったら見に行くというスタンスでいいかと思います。

というのも、この博物館……広いんです。延べ面積が約4万1000坪と、世界でも有数の広さを誇ります。常設の1階だけでも1-2時間あっという間に経ってしまいます。3階までしっかり回ろうとしたら、ここだけで1日経ってしまいます。初めて来る方なら、とりあえず常設展示室に行くことをお勧めします。

旧石器時代から始まって、新石器時代、いわゆる縄文・弥生時代……。日本に近いこともあり、古代の展示は大体見覚えがある感じのものが多いです。

ちょっと変わったものだと、卵型の棺桶。朝鮮半島には、人は卵からかえるという思想があったようで(卵生神話)、死んだ後もまた卵に戻す……そんな習慣があったみたいです。

目で楽しめるようになるのは、三国時代(新羅・高句麗・百済)からでしょう。同じ時代に栄えた三国ですが、それぞれ少しずつ文化が違います。服装や服飾品を見るとそれが分かります。

筆者の印象だと、高句麗は強さ売り、百済は繊細さ売り、新羅は洗練されたイメージ(中国文化の流入を感じさせる)売りのように見えるんですよね。

朝鮮半島の歴史においても海の向こうの和(倭)=日本との関係は切っても切れないもののようです。相互で行き来した証拠品や記録がどの時代にも登場します。

近くて遠い国と言われたりもしますが、長い歴史の中で近くて近い国だったんだなぁと感じさせられます。

2階や3階は美術館として利用

1階だけでもお腹いっぱいのボリュームがありますが、興味のある方は2階や3階の展示もチャレンジしてみてください。2階と3階は、書道や絵画など美術品を集めた美術館になっています。

例えば同じ陶磁器でも、18世紀の白磁のようなものは1階に展示されていますが、人間国宝○○氏の作品というようなものは2階や3階にあります。付け加えると、1階の展示物は複製のものが多いですが、美術品のほうはほとんど本物。

なので、好みによっては直接2階あるいは3階に行ってもいいでしょう。1階と違って、勉強をしに来る子供たちが少ないので静かに楽しめますよ。

ミュージアムショップや食堂も充実


広い広い博物館の中をまわっていると、足が疲れますよね。ここには、ベンチが至る所に設置されているので、一休みしたい時はぜひ利用してみてください。

常設展示室の入口右手のカウンターでは、日本語・英語・中国語などの外国語案内パンフレットがあるほか、ベビーカーの貸し出しや手荷物を預けるコインロッカーのコーナーもあります。また、脇のほうにはミュージアムショップ、子供用の博物館、食堂なども充実しています。

入場無料なので、お弁当を持ってきて、外のお庭で食べるのも気持ちがいいですよ。雨の日は食堂、晴れたら外でピクニック気分でランチというチョイスもよいかと思います。

他の博物館と同じく、韓国では小さい子供を連れてくる人が多く、特に週末や夏休み・冬休み期間は小学生以下の子供たちの姿がたくさん見られます。

静かに展示物を眺める雰囲気でない時もありますが、その分、子連れでもまったく気を遣わなくてもいい長所もあります。ソウル名物(?)のでこぼこ道でベビーカーがひどく揺れる心配もしなくていいのも、小さいお子様連れの旅行者にはありがたいことですよね。

国立中央博物館
04383 ソウル特別市龍山区西氷庫路137
公式HPはこちら(日本語)

この記事を書いた人

エナ

エナライター / エナツアー主催

横浜出身のソウルっ子。2000年から2002年、ワーホリ滞在。その後横浜での10年間を経て2011年、再度渡韓。本業は日本語教師。ソウルの町歩きが大好きなネイリスト。ソウルの博物館、市場が主な生息地。普通の町を普通じゃなく感じさせるエナツアーなるものを企画していました。最近は日本家屋の残る町にはまり気味。

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