アイスランドの草木や苔を通して想ったこと
アイスランド

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特別企画「tripro VOICE アイスランドWEEK」
アイスランド総合研究所の企画「アイスランドに関する記事募集」でご応募いただいた記事のうち、「特別賞」「優秀賞」に輝いた記事を掲載しています。
今回の記事は「優秀賞」に輝いた、水島 ゆめさんによる「アイスランドの草木や苔を通して想ったこと」 です。


 アイスランドには高い木がほとんど見当たりません。これは光が少ないため、地熱による地面に近い方が温かいため、また中世以前の燃料としての伐採や、火山ガスの活性によるものだと聞きます。

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(可愛い羊たちも木の芽を食べてしまい大きな樹が育たない要因の一つだとか。)

 少し都市から離れると、常に広い自然の景色が広がります。
その岩と苔たち覆われた大地をなんと形容したら良いのか分からなくなりました。
どこまでも続いて人がおいそれと触れてはならないようなオーラをビシビシと発しています。荒れた大地を這うように苔たちが覆っています。

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 セリャラントフォスの滝の裏側では、一秒たりとも止まることのない冷たい水しぶきのなか、ずっとここに生えている草や苔の命の営みに泣きそうになりました。
わたしはもう耳も手も鼻も痛いくらい冷たいのに、ここの草や苔は動きもせず永遠と激しい滝の風と水しぶきを浴び続けています。
 
 なんだかアイスランドの地を見ていると決して大きな樹にはならないけれど、ずっとずっと留まり生き続ける苔たちの無音の叫びのような、低過ぎたり高すぎたりして人間の耳には聞こえない音が流れているような、すさまじく圧倒的な存在感がつねにちっぽけなわたしたちを取り囲んでいるかのような気分になりました。

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どんなに雄大な景色を見ても、近づこうとそばまで歩いて、私が触れることができるのは石や草たちでした。当たり前のことだけれど、大切なことに気づかされた気がします。

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 幼い頃から自然に対する感覚の違いに孤独を感じてきました。
清潔なプラスチックを使って「私は虫なんて殺してないし、植物だって殺してない」と、自分の手を汚さずに誰かに自然破壊をさせておきながら、野に咲く花を摘む私に「かわいそうなことする!」と堂々と言ってくるような人ばかりでした。

見もせず、触れもせず、決められたルールや言葉ばかりで縛り付ける。
そんなわたしの悲しみをこの地は癒してくれます。

 自然が豊かとはどういう意味なのだろう。
森林があれば豊かか?人の手が加えられていなければ?多種多様の生物が息づいているならば?
うまく答えは出せないけれど、そこに住む人々が自分をとりまく生命に敬意を払って生活していることが嬉しくて、またアイスランドに来たいな、と思いました。

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