ベトナム・ホイアン観光の本当の魅力を、在住経験者が徹底的にお伝えします
ベトナム

ホイアンランタン

今や大人気のベトナムの中部最大の街ダナンですが、ダナンを玄関口にして近郊の世界遺産などの見どころを回る方も多いことでしょう。今回はそんな中部の観光スポットの中でも、ダナンから一番近いホイアンの魅力に迫りたいと思います。ホイアンはダナンから車で40~50分ほど。ダナンを訪れる旅行者が必ずと言っていいほど足を運び、その美しさに惚れ込んでしまうようです。
 
かくいう私も、在住期間10か月の間に6回も行ってしまいました。そんなホイアンリピーターとして、今回はホイアンの魅力を徹底的にお伝えしたいと思います。
ホイアン ブーゲンビリア

人気観光地に返り咲いたホイアンの「ふたつの顔」

まずはホイアンの歴史を簡単に見てみましょう。南シナ海から注ぐトゥボン川が現在のホイアンを貿易港に成長させました。特に16世紀からは日本、中国、オランダ、ポルトガルの商船が来航するという国際貿易港にまで発展したといいます。
 
当時のホイアンには外国人が居住するエリアも多く、日本人が住んでいたことは多くの方がご存知ですね。「日本橋」とも呼ばれる「来遠橋(らいえんばし)」など、ホイアンにはそんな当時の日本人在住者の名残があります。

ホイアンはその後の戦乱や天災により国際貿易港としての勢いを失っていきました。それに代わるように、当初は漁村でしかなかった今のダナンが貿易港となり、現在ではベトナムで3番目の街に成長していくのですから、歴史とは面白いものですね。
 
しかしそれでも、ホイアンは強かった! 現在ではダナンより人気の観光スポットに返り咲いてしまったのですから。

そんなホイアンには、思うに「ふたつの顔」、つまり魅力があるのです。それは何かというと、昼と夜のそれぞれの時間帯に見せる、ホイアンの表情の違いのこと。訪れる方には是非とも、このホイアンが持つふたつの表情を堪能していただきたいと思っております。

ホイアン昼篇


日中のホイアンは、レトロな黄色い建物とカラフルなランタン(提灯)、そしてブーゲンビリアのコントラストが美しく、訪れる者の旅情をかりたてます。日光を避けるように木陰で休息をとるシクロの運ちゃんたちや、ベトナム特有の三角帽子(ノンラー)をかぶった売り子さんたちが、ゆっくりと歩みを進めるのを見ていうると、ゆったりした気分になれますよね。

まずは歴史探訪がベスト!


明るい時間帯は、歴史的建造物やお寺などを回って、写真撮影するのがベストです。ホイアンの歴史的な家屋などが残されているのは、トゥボン川沿いのバックダン(Bác Đang)通りと並行に走るグエン・タイホック(Nguyễn Thái Học)通り、とそのもうひとつ上のチャン・フー(Trần Phú)通りのエリアです。
 
上述の16世紀に居住していた日本人が建設に関わったとされる有名な来遠橋はチャンフー通りを川を背中に向けて左方向に進むと見えてきます。

橋の向こうのグエンティーミンカイ(Nguyễn Thị Minh Khai)通りにも「馮興家(フーンフンの家)」という、築200年の中国人貿易商人の家屋があり、もちろん見学もできます。現在でもその子孫が住んでおり、私が訪れた際にはホイアン名物のホワイトローズ(ワンタン料理)を作っていらっしゃいました。和中越の折衷型の建物で、どこか懐かしさを感じたのが印象的でしたね。

旧市街エリアはほかにも、かつて住んでいた中国人が同郷人との交流の場として建てた集会所やお寺など、異文化に触れられるスポットが盛りだくさんですので、ぜひ足を踏み入れてみてください。
 
ここでご注意いただきたいのは、このエリア入り口のチケットブースで5つ綴りのチケット(12万ドン、650円ほど)を購入しないと、エリア自体に入れないということです。各スポットでチケットを1枚ずつ切ってもらい、入場するシステムになっています。(チケット料金は金額変更の可能性があります。)

ベトナム土産のショッピングは断然ホイアン!


ホイアンの歴史探訪が終わったら、次に楽しんでいただきたいのがショッピングです。ダナンを訪れたことがある方ならお分かりだと思うのですが、外国人が連想するベトナム雑貨などはダナン市街地にはあまり揃っていません。最近は数件お土産屋さんが出てきましたが、日本人好みのベトナム雑貨や少数民族の布を使った雑貨やアクセサリー、バッチャン焼(本場バッチャンで作られたものではない)などのベトナム土産はホイアンの方が断然種類が豊富なのです。
 
実際にホイアンの街を歩いていると、おみやげ屋さんや、心惹かれるディスプレーのお店が所狭しと並んでいて、ついついお財布のひもも緩んでしまいそう。また、お土産だけでなく最短時間で完成する衣類や革製品のオーダーメイドのテイラーも多いので、気に入ったデザインや布を見かけたら試してみるのもいいと思いますよ。

ショッピング・食事が楽しめる主なエリアは……?

チャンフー通り、グエンティーミンカイ通り、バックダン通りです。
 
川を背にしてバックダン通りを右方向へ進むと、ホイアン市場があります。
ベトナム土産から香辛料などが店舗より格安で入手できます。
オーダーメイドならホアンユー(Hoàng Diệu)通り、ファンチューチン(Phan Châu Trinh)通り(上記以外にも至る所にあります)。

値段交渉にはご用心


さて、お買い物をする際にご注意いただきたいのが、値段交渉です。値札が付いていないことの多いホイアンでは、外国人観光客に対しては、相当値を上げた価格を表示してきます。ですので、ここは面倒がらずに、楽しむ気持ちで値下げ交渉をしてみていただきたいものです。
 
交渉の目安としては、店員さんが言ってきた値段のマイナス6割ぐらいの値段からスタートしてみるのがいいでしょう。交渉を経て大体マイナス7.5~8割のところで手を打つと、双方気持ちよく買い物ができるんじゃないでしょうか。

もちろんショッピングだけではなく、古い建物をリノベーションしたレストランやカフェも多いので、お腹が空いたら好みのところに駆け込んで、ゆったりとしたランチタイムを楽しみましょう。

昼下がりにプチクルージングはいかが?


さて、ランチも終えて、少し疲れが出てくる昼下がり。スパでマッサージを堪能したり、カフェでまったり過ごすのもいいですが、トゥボン川のクルージング&伝統工芸品を作る職人の村へ訪れるのはいかがでしょうか。
川沿いのバックダン通りに出ると、ボートからしきりにクルージングのお誘いの声が上がってくるはず。

船頭さんと行先と値段の交渉をしていざ、プチクルージングへ。水牛が休んでいたり、村人が漁をしていたり、とまた違った景色が見られます。


ユルワが赴いたのは、木彫り職人の村、キム・ボン(Kim Bồng)村でした。こちらは木彫りだけではなく貝殻を使う螺鈿細工の職人も多く、ベトナムの匠の技に触れられます。もちろんショップが隣接されているので購入も可。

ホイアンの歴史に触れ、買い物と食を楽しみ、伝統的な技に触れる日中篇をお楽しみいただいたら、そろそろホイアンの街に夕闇が訪れる頃となります。そこからホイアンはのどかな古都から一気にロマンチックなムードに早変わり。色とりどりのランタンに明かりが灯り、来遠橋のライトアップも始まります。

ホイアン夜篇


ホイアン夜篇のスタートは、川沿いのレストランといきましょう。川沿いにはレストランが数多く並んでいるので、お好みの場所とお料理でお選びください。ここで大事なのが、お天気が許す限り「テラス席」を選ぶこと。というのも、川沿いのお店が灯すランタンの灯りが川の水面に写って、非常に幻想的な景色を眺めながら食事が楽しめるのです。
 
ユルワは日本から来た知人を案内した際、レストラン「ホア・アン・ダオ(Nhà Hàng Hoa Anh Đào)」という、日本語の「桜」を意味するレストランのテラス席に座ったのですが、おひとり様で食事に来ている方もいらしたので、たとえひとりでも物怖じせずチャレンジしてください。絶対にその価値はありますよ!

ホア・アン・ダオ


食後の腹ごなしは、カメラ片手のお散歩が一番です。ランタンの灯りに誘われて、日中以上に人出が多くなります。どこかお祭りのようなホイアンの夜ですが、路地に入ってみると、店先で住人が夕涼みをしていたり、おしゃれなカフェで外国人が、ひとり、もの思いに沈んでいたり。ゆったりとしたホイアンの夜の過ごし方が垣間見られるのもいいところです。
 
にぎやかなのがお好みであれば、トゥボン川のアンホイ橋を渡ったところで開かれるナイトマーケットを冷やかしてみるのもいいですね。手作りのランタンを売るお店もあるので、お土産にひとつ、お好きな色や模様のランタンを持ち帰ってみては?

こんな風に1日を過ごしてみると、ホイアンから出たくなくなりますね。旅の予定に余裕があるなら、ぜひともホイアンで1泊されることをお勧めします。ホテルや安宿があるエリアは観光スポットの旧市街から少し離れますが、朝早起きして、観光地の表情を持ち始める前のホイアンの素顔に触れるのも乙なものでしょう。それぞれの時間にそれぞれの美しさをたたえるホイアンをお楽しみいただければ幸いです。

この記事を書いた人

ユルワ

ユルワベトナム/ダナン専門家

「女一人でどこへでも乗り込む」アラフォーのトラベルライター。主にベトナムの中で大人気のダナンを掘り下げて情報発信しております。 幼少のころから東京都内を転々とし、更に家族と札幌へ移住。そんな生い立ちからついたノマド癖。 モノはないけど海が超絶きれいな太平洋上の島国と激安激ウマのベトナム・ダナンで通算3年間に及ぶ海外暮らし経験有。次はどこで暮らそうかなと思案中です。

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