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「ボマルツォの怪物庭園」には本当に怪物がいっぱいだった…。

怪物庭園

ダリも訪れた、近くて遠いイタリアの秘境!?

世界遺産の数では、常に1、2位を争うイタリア。ローマのヴァチカンやコロッセオ、ヴェネツィアなど、世界中の誰もが知っている”ビッグネーム”がひしめいています。
しかし、イタリアには世界遺産じゃなくてもあまり知られていない「なんだこりゃ~! 」と思ってしまう不思議な場所がたくさんあります。そんな、奇妙な場所のひとつ、ボマルツォの怪物庭園に行ってきました。
イタリアに20年以上住んでいながら、遠くもないのにずっと行けなかった場所が、ボマルツォ。ボマルツォは、ローマを州都とするラッツィオ州にありながら、交通の便があまり良くない田舎にあります。ローマから105キロ北に位置しており、グーグルマップでは「モストリ(怪物)公園」と表示されていますが、日本人が想像する「公園」とは程遠い、とても奇妙な場所です。女優の上野樹里さんのサントリーの飲料水CMにもでてきますので、見覚えがある方もいらっしゃるかもしれませんね。


怪物庭園

怪物庭園と呼ばれるのは何故?

イタリアにはルネッサンス期1400年代を中心としたVILLA(ヴィッラ)別荘文化がありました。都市から離れた郊外に別荘を持ち、時にはそこに有識者が集まる文化的サークルの集まる場所になったところもありました。そんな別荘に必ずあったのが庭園でした。多くの庭園が、噴水、彫刻、花壇などで飾られていました。
ボマルツォ村から約2キロ、チミーノ山の山裾に作られたvilla delle Meraviglie(驚異の別荘)、または、聖なる森と言われる庭園があります。この地方の領主ヴィチーノ・オルシーニとその建築家ピーロ・リゴーリオが1552年に世界で唯一の変わった庭園を計画します。それは、森の斜面や水を利用つつ、ドラゴンなどの不可解な怪物、エキゾチックな動物たち、ギリシャ神話、完全に傾いている家などがある奇妙な庭でした。当時ここを訪れた人々は、おおいに驚いたに違いありません。

怪物庭園

人間の大きさと比べると、丁度よい? 大きさの巨人。緑の森のなかにひっそり存在する、そのリアル感が大人にも子供たちにも大人気です。
怪物庭園

巨大ドラゴン。

怪物庭園

ギリシャ神話に出てくる犬、ケルベロス。通常3つの頭を持ち、蛇の尻尾を持っています。冥界の入口の番犬と言われています。

怪物庭園

ギリシャ神話の女の怪物、エキドナ。上半身は翼を持つ美女なのに下半身は蛇です。上記の怪物犬ケルベロスの母でもあります。日本のヤマタノオロチを連想させました。

怪物庭園

森のなかに突然現れる迫力満載のゾウ。実際のゾウと同じくらいの大きさでした。

怪物庭園

傾いた家。中に入ることもできます。石垣に隣接して作られていますので倒れる心配はないようです。

アーティストたちにも人気

動画サイトには、庭園を訪れたサルバトール・ダリの動画や、イタリアの巨匠、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の庭園動画などがあり、多くのアーティストたちにインスピレーションを与えた場所だということが良くわかります。
ヴィチーノ・オルシーニが亡くなってからは庭は手入れするものがおらず、何世紀も放置されていました。建築物や芸術品と違って、庭園は植物によって成り立つもの。植物の手入れをしないとあっという間に荒廃してしまいます。現在では整備されていますが、自然の森に置かれている巨大で奇妙な彫刻が、年月とともに独特の風合いを醸し出し、リアルな現実とファンタジーの世界を作り上げています。
私が訪れたときは秋晴れの週末という事もあり、園内はイタリア人の子供連れの家族でいっぱいでした。もう少し芸術的な場所、秘境的なイメージを持っていましたが、イタリアの子供たちは単純に奇妙な怪物に大興奮していました。季節や時間によって印象が違う場所だと思われます。

インフォメーション

■オフィシャルサイト
http://www.sacrobosco.it/eng/enter.php
■入場料
大人:10ユーロ
子供:(4〜13歳)8ユーロ
※年中無休のようですが、確認の上行かれたほうが良いかもしれません。
■施設内設備
無料駐車場、カフェ、レストラン、ブックショップ
※施設内は禁煙(村まで2キロ位あるため、レストランがあります)
■行き方
車:ベストなのはレンタカーなどの車です。太陽高速道路(AUTOSTRADA DEL SOLE) A1に乗りフィレンツェ方向に北上していき、高速出口ATTIGLIANOで降ります。そこからは、BOMARZO行き標識に従い、国道SP11・SP19・SP20に沿って到着です。ローマ市内の渋滞によりますが、1時間20分位かかります。
公共交通機関:ローマテルミニ駅からオルテスカロ駅(ORTE SCALO)までイタリア国鉄で1時間弱で到着。その後ラッツィオ州COTRAL社のバスに乗り換えるのですが、1日6本のバスしか運行していません。しかも日曜祭日は運行していないという、いわゆる僻地にあります。もしくはタクシー利用でオルテスカロ駅より30分程度です。時間をお確かめの上利用して下さい。
近年、ローマ発のオプショナル観光が作られているようです。オルヴィエートや、チヴィタヴァーニョレージョも回る終日観光です。催行人数2名からで、日本語アシスタント付き。何より時間を節約したい方はこちらに参加するのも良いかもしれません。

Bomarzo

意外に子供達に受け入れられていた秘境!?

アントニオーニ監督のモノトーンの動画を見た後に行った”秘境”ですが、廃屋的なイメージとは裏腹に意外と明るくて驚きました。子供が遊べる公園として家族連れや遠足で普通に行くようです。子供たちは、世代的にゲームや映画でファンタジーの世界に親しんでいるせいか、怪物には抵抗もなく、怖いものというよりアトラクションの一つのように受けいれていました。静かな日に行かれたい場合は、祝祭日を避けた曇り空の日に行くと全く印象が違うのではないでしょうか? 置かれている作品の芸術性も非常に高く、じっくり鑑賞して回ることが出来ると思います。個人的にはリピートして行きたい場所の一つでした。

この記事を書いた人

ゆきとさな

ゆきとさなフィレンツェ県公認ガイド

旅行業界で20年以上働いています。旅行の度にコロコロシステムが変わるイタリアですが、できるだけ最新の情報を心掛けます。歴史と魅力が沢山の国イタリアに来て下さいね!