無人の波を求めて 〜ギリSurf Trip vol3〜
インドネシア

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前回の記事:無人の波を求めて 〜ギリSurf Trip vol2〜

バリ島サヌールを出港して4時間。ようやくギリが視界に入ってきた。
「おおお、陸だ〜、陸が見えたぞ〜〜」
島が見えた瞬間、そんなことを叫んでみたものの周りはまったく無反応であった。それもそのはず。ボクが乗り込んだ船の2階にはスタッフと旅の相棒Mikiだけだった。要するにボク以外は全員現地の人間だったのだ。

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Mikiがその船のキャプテンと友だちだったことで特別に2階の広々としたスペースで寝転がりながら船の旅を満喫する事ができていた。彼らにとってみたらまったくの日常の風景であり、ギリが見えたことくらいであからさまに感動しているのはボクだけだったのだ。

どうも盛り上がりに欠ける。おい、みんな。もうちょい盛り上がっていこうぜ。そんなことを思ってみたところで状況は変らないのだ。

ギリはギリ・トラワガン、ギリ・メノ、ギリ・アイルの3島が身を寄せ合うように浮かぶ極めて小規模な諸島であった。ギリは現地の言葉で「島」を意味するらしく、うっかりギリ島などといってしまうと「島島」となってしまうので気をつけなくてはならない。

船はまず、3島の中で最も大きいトラワガンに着くことになっていた。島が近づくに連れて海の透明度が上がっていった。今までに世界中の海を見てきたが、ここまで透明度の高い海を見るのは初めてだった。

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島に上陸すると小さな港にはタクシーなどは停まっていない。馬車が数台いかにものんびりそうに待機しているだけだった。街を行き交う乗り物は馬車と自転車だけであった。
通りすがりの馬車からは鈴の音がシャンシャンシャンと優しい音を奏でていた。
聞けばこの3島は「ガソリン動力全面禁止」という独自の政策を打ち立ているという。車はもちろんバイクも走っていない。道路もほとんど舗装されていない。

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まるで中世の世界に迷い込んでしまったかのような錯覚に陥ってしまった。
エコの観点からするとある意味世界の最先端をゆく島なのかもしれない。空気を汚さずに人々が生活しているこの島は「エコ・アイランド」の名にふさわしい島であった。

Vol4:無人の波を求めて 〜ギリSurf Trip vol4〜 – tripro VOICE

この記事を書いた人

有本 圭

有本 圭ライター

世界一周旅行をきっかけに「海と共に生きる」ことを決意し、湘南へ移住。2000年にJPSA公認プロサーファーになる。2007年まで7年連続シード選手として活躍しつつ、サーフボードとともに世界を歩いた。2012年10月に家族と共にバリ島へ移住し、ライターとして『Blue.』や『NALU』といったサーフィン誌に寄稿している。

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