米軍基地に遊びに行ける日。「厚木基地」「横田基地」のイベントを比較解説
日本

島国である日本では外国に行くにはどうしても海を超えなければならず、これはなかなかハードルが高いことなのですが、外国に行った気分になるだけなら様々な手段があります。

各地のテーマパークに行ってみたり、中華街や新大久保のコリアンタウンを訪ねるのもいいでしょう。もし旅行関係でコネがあれば、寄港中の外国船を見学できるかもしれません。

日本の領海を航行中の外国船は一定の条件以外は「無害通航権」が保証され、船内は船籍国の法令が適用される外国といってよい場所となります。どこかに寄港すれば一転して日本の法令が適用されますが、それでも外国の雰囲気を味わうことだけは出来ます。

同じように日本の中の外国として挙げられるのが、在日米軍の基地内です。

「日本の中の外国」である在日米軍基地

米軍基地は日米地位協定に基づき日本政府が使用を許したもので、日本の法令が適用される地域であるというのが外務省の見解ですが、米軍には日本の法令は適用されず、しかも敷地への出入りを許可するのも米軍です。

まさに外国そのものといってもよい場所ではないでしょうか。

私の住む町田周辺には空軍が使用する横田基地と、空母の艦載機が使用する海軍の厚木基地があります。

特に、在日米軍の司令部も置かれた横田基地は東アジアにおける米軍の主要基地であり、軍人・軍属・家族も含めると9,000人近い人々が生活する場となっています。

そういった人々の帰省のために、航空会社のチャーター便が米本土から定期的に飛来し、手続きなしに入出国できるそうです。

冷戦時代の西ベルリンのようなもので、国内に残されたアメリカの飛び地と言ってもいいのではないでしょうか。

米軍基地はイベント時に立ち入ることができる

日頃はフェンスと有刺鉄線で仕切られた米軍基地ですが、厚木基地では毎年4月下旬~5月上旬頃、横田基地では8月~9月頃にイベントが開催され、期間中は一般人でも基地内に入場することが出来ます。

期間中厚木基地では約7万人、横田基地では何と約18万人の来場者でにぎわいます。そうはいってもそこは外国の軍事施設ですから誰でも自由に出入りできる訳ではなく、入場の際は当然のことながらチェックが入ります。

チェックが厳重な厚木基地の場合、基本的には「日本人であることが証明できる書類」が必要です。(免許証に本籍の記載がない場合、本籍地を記載した住民票が必要。不備があれば入れてくれない。)

書類を確認したうえに手荷物検査も実施し、空港のような金属探知機のゲートもくぐらなければなりません。

横田基地においても同様の書類が求められていましたが、実際は手荷物検査だけでした。

実際に基地の中に入ってみた

中に入ってみて「ここは外国だぁ~」という気分になれるのは断然厚木基地です。入場口の近くにマッカーサーガーデンがあり、かつてのGHQ最高司令官の銅像が建てられていたのはいかにもアメリカ的です。

台座には「日本の民主主義の生みの親マッカーサー」という、人によっては髪を逆立てそうな内容の言葉がしれっと刻まれていました。

敷地内の表示のほとんどが英語ですが、この看板には笑いました。

Available 7days/24hrs  To Call a Taxi,Dial (電話番号)then say,「Atsugi Kichi Area1 ni Taxi Kitekudasai」と書かれています。

基地内にゴルフコースがあることは地図で知っていましたが、河川式のコースのようなものをイメージしていたら、全然違いました。


屋台で販売されている料理の食材やドリンク類は米本土直送です。


基地内のマクドナルドもメニューは米仕様なのだそうです。

外国感満載だった厚木基地と比べて横田基地はそれほどでもなく、大井ふ頭の倉庫街を歩いているような雰囲気でした。

飛行機を間近で見られる基地のイベント

私のような乗り物好き、機械好きにとってこのようなイベントで最も魅力的なことは、成田空港や羽田空港ではありえないくらいの近さで飛行機を見ることができることです。(触れる!)

厚木基地では海上自衛隊の大型機が展示の中心でした。哨戒機P-1が離陸する場面です。

海上自衛隊が使用しているC-130は「世界最高の輸送機」と呼ばれていますが、間近で見て翼の分厚さに驚かされました。

人員なら92名、貨物なら約20トン搭載できる貨物室です。


1954年の初登場以来エンジン、プロペラ、電子機器以外は改良が不要なほど基本設計が優れたC-130ですが、最大の弱点はトイレだといわれています。

どう見ても仮設で、しかもむき出しです。使用の際はカーテンで囲むそうですが、小ならまだしもここで大をするのは恥ずかしいでしょう。

残念ながらコックピットは入り口から覗き込むだけで、中に入ることはできませんでした。

要所要所に隊員を立たせ、飛行機の性能の説明に力を入れていた自衛隊に対し、飛行機を見せることに徹した米軍は来場者に対してよりオープンであったように感じます。

最新鋭輸送機の機長席に座ってみた!

米軍機が中心だった横田基地のイベントでは、厚木基地で入れなかったC-130のコックピットに入ることが出来ました。

そして入るだけでなく何と操縦席に座ることも出来たのです。本物の飛行機の操縦席に座るなど、このようなイベントでなければまず無理でしょう。

足もとのペダルは恐らく機体を左右に傾ける際に使用すると思われます。

この時はタイヤに触ることもOKでした。かつてタイヤメーカーに勤務していたこともある私にとっては興奮以外の何物でもありません。

横田基地では大型長距離輸送機のC-17も展示されていました。

世界最大級の大型貨物の長距離空輸能力と、世界でトップクラスの短滑走距離での離着陸能力を兼ね備えた輸送機で、貨物室内部はこうなっています。

長距離を飛ぶ輸送機ですから、さすがにトイレもしっかりとしています。(中は見ていません)

1時間半並んでコックピットに入りました。

C-130では右側の副操縦士の席だったので、今度は何としても機長席に座らなければなりません。操縦席の後ろに張り付き、前の2人組が席を離れるとすぐに左側の席を確保しました。

操縦桿がシンプルなことと電子化が進んでいることが印象に残っています。

機長席からの視界です。

念願かなって機長席に座ったいう事で完全に舞い上がってしまい、写真を撮ることばかりに熱中してしまって座り心地をじっくりと味わうのを忘れていたのが残念です。

マニアでなくても楽しめる基地のイベントに参加してみよう

「性能の良い機械は見た目も美しい」というのが私の持論ですが、快適性を犠牲にしてでも性能に特化しなければならない軍用機には特有の美しさがあります。

当然のことながら戦場に投入される兵器ですから様々なご意見があると思いますが、こういうものに夢中になるのは男としての本能であるとご理解いただきたいと思います。

一方でこういったイベントは市民の祭りのような雰囲気があります。

様々なグルメやミリタリーグッズの屋台が出店していて、私のような乗り物好き、機械好きでなくても楽しめるようになっています。「日本の中の外国」である米軍基地のイベントで皆さまも至福の時を過ごしてはいかがでしょうか。

厚木基地
神奈川県綾瀬市蓼川

横田基地
東京都福生市大字福生2552

この記事を書いた人

鶴間正二郎

鶴間正二郎

徳島県出身。いまどきMT車にこだわる車好きだが、鉄道好きでもある。善光寺御開帳の際に御朱印の美しさにはまり、現在各地の寺社をせっせとまわっている。最近では厚木基地に離発着する飛行機の撮影に挑戦を始めた。

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