元海外旅行添乗員直伝!旅行者としてテロに向き合う姿勢とは?

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テロの脅威

休みのたびに旅行に出かける無類の旅行好きにとっても、自由に行先を選べなかったり、常に危険と隣り合わせでのんびりと観光も楽しめない時代になってしまった感がありますね。2015年はISの脅威に始まりISの脅威に終わった年で、世界中が不穏な空気に包まれていたような気がします。

テロって怖い?

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次々と起こる予測できない事件の数々。自分だっていつ巻き込まれるかわからない。用心してどこにも出かけないようにすれば悲劇も最小限に抑えられるのかもしれませんが、それを言ったら日本にいて自宅と会社の往復しかしていなくとも、テロリストの方から自分の方に近づいてきて巻き込まれて命を落とす危険性だって否めない訳です。日本にも地下鉄サリン事件なる独自のテロがあったぐらいですから…。


ですから、この状況を怖がって自分の行動を制約する、ということは何の解決にもならない訳ですね。怖がらず、冷静に事の成り行きを分析して、巻き込まれることを避けるだけでなく社会から少しでもそういった切ない事件を無くすべく動くのが最も建設的で、世界全体の為になると思うのです。

テロを理解するということ

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「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」という有名なことわざがありますが、相手を知れば怖さはなくなり、むしろ不憫に思うようになるかもしれません。
もし自分が何か、誰かに手を差し伸べられることがあるのであれば、世界中の皆が一つずつそれを行うことによって、抑圧や不当な扱いを受け屈辱的な思いを抱える人々が減ることにつながり、結果テロのような形で爆発することも減っていくのではないかと思うのです。


もちろん、理解するといっても簡単なことではありませんし、正しい知識や経験をきちんと引っ張って来なければ、また新たな不穏を生むことにもなりかねません。


宗教とあまり深く関わりを持たない日本人にとって、例えばイスラム教はほぼ未知の宗教であるのではないでしょうか?
厳しい戒律が沢山あり、一日五回の礼拝から断食、安息日、女性の立場、結婚の意味等々、自由で平和な日本人にはとても守りきれないほどのルールやしきたりが存在します。365日全てが宗教と密接に結び付いた人生が送られているのです。その中でも微妙に異なる宗派がいくつかあり、キリスト教、ユダヤ教と聖地を同じにするイスラエルのイェルサレムなどではそれぞれの聖地と呼ばれるその同じ場所の中で毎日のように小さなテロや紛争が起こり、憎しみや悲しみが渦巻いているのです。
最近、仕事を得るためにフランスやスペインなどに渡って来るマグレブ(アフリカ大陸から來るアラブ系)の民が後を絶ちませんが、彼らは既に二世、三世であったとしても純粋なフランス人と同じ教育を受けられない事があります。それどころか就職試験で落とされたり、就ける職が限られていたり、ただ街を歩いているだけで罵倒を浴びせられるなどとといった経験をしており、自分に罪はないのに差別を受けて悔しい思いをしたことがない人はいない、と言われています。
私はこの話をマグレブ三世のフランス国籍の友人から聞きましたが、自分が実際に旅行に行った際にも、例えばイスラエルでは突然後方から走ってきたアラブ系の男性に髪を引っ張られたり蹴飛ばされたり、といった経験をしました。
スカーフも巻かずにズカズカと自分たちの聖地をうろつきまわっている日本人女性に腹を立てたのでしょう。無理もない、と思いました。

テロに備える

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以上のように、テロには根深い理由があるとつくづく思うのです。
誰かがした悲しい思い、不遇な思い、屈辱、差別、罵倒…時にそれらが積もり積もって恨みつらみに代わり、復讐として大きなテロ事件を生むのだと思います。しかも差別のせいで十分な教育を受けられなかったがために、それらを論理的に説明したり交渉したりすることが出来ない人たちもいますから、決して表面的にその事件だけを問題視したり恐れたりするのは少し違うと思うのです。


社会の仕組みを変え、差別や抑圧のない世界にするには長い時間が必要ですが、旅行者としてすぐに出来ることをやろうではありませんか。
例えば、これまでは行こうとする国の良い面(世界遺産や、名物料理等)だけを見ていたのだとしたら、これからは政治的、宗教的な面をはじめとするネガティブな面(悪い面とは言いたくありません、例えば歴史的にどういう事件があったか、どういうことを重視する国民性か、国の宗教とその戒律はどんなものか、対立している国と仲の良い国はどこか、民族は単一か複合か、等)を事前に良く知り、正しく理解をした上で旅行する、というのはいかがでしょうか。


人は誰でも共感してくれる人には牙を剥かないものです。
理解を持って旅行することにより、旅行先の国々では「ああ、味方になってくれる民族もこの広い世界には沢山いるんだな、爆弾を投げる前に一度話し合ってみよう」という気持ちになる人が増えるかもしれません。
私たち旅行者が率先してそのような開いた気持ちで色々な国を見て歩くことによって、世界は必ず良い方向に変わって行くと思います。
そしてそれが、真の旅行の醍醐味ではないでしょうか。

この記事を書いた人

平山ロゼ

平山ロゼハイパートラベルコンシェルジュ

イギリス生まれ。海外添乗員時代に46か国を巡る。現在トラベルコンシェルジュ兼5カ国語講師。数々の危機を乗り越えた経験から、旅行を楽しくより快適にするために、斜め目線で航空旅行業界を斬る!時もあります笑

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